インクロムでは主に医療法人平心会で行われる治験の支援を通じて、関西・関東地区を中心に20万人以上の候補者パネルを築いてきました。その過程で蓄積されたデータを通じて、適切な治験実施計画の設計に貢献したいとの思いから、データ公開を行うことといたしました。
そこで、第1回は「特異的IgE抗体:スギとヒノキの相関性」と題し、医療法人平心会が保有する約10,000名のスギおよびヒノキ特異的IgE抗体データを公開します。

[全体] スギスコアとヒノキスコアのクロス集計結果

Fig.1 特異的IgE抗体:スギスコアおよびヒノキスコアのクロス集計結果

スギスコアとヒノキスコアを同時に測定している10,021名のデータのクロス集計結果を行った(Fig.1)。
スギスコアがヒノキスコアよりも高いスコアを示す症例は、6,909例認められたのに対し、ヒノキスコアがスギスコアよりも高いスコアを示す症例は99例のみであり、約70倍の差が認められ、スギスコアはヒノキスコアよりも高いスコアが出る傾向が認められた。
また、67%の症例はスギスコアとヒノキスコアの差分が±1以内であり、92%の症例が差分±2以内に収まっており、両者のスコアには相関性が認められた。

[関東・関西] スギスコアとヒノキスコアのクロス集計結果

Fig.2 特異的IgE抗体:関東在住スギスコアおよびヒノキスコアのクロス集計結果

Fig.3 特異的IgE抗体:関西在住スギスコアおよびヒノキスコアのクロス集計結果

関東地区および関西地区別のスギスコアおよびヒノキスコアのクロス集計を行った(Fig.2, Fig.3)。
スギスコア0および1の症例を除いたスギスコア陽性パネルの内、スギスコア5以上のパネル割合は、関東地区で14.5%、関西地区で12.1%認められ、スギスコア4以上のパネル割合は、関東地区で42.2%、関西地区で38.8%認められ、1割程度関東地区在住パネルの方が高い傾向を示した。
一方で、ヒノキスコア0および1の症例を除いたヒノキスコア陽性パネルの内、ヒノキスコア5以上のパネル割合は、関東地区で2.3%、関西地区で3.1%認められ、ヒノキスコア4以上のパネル割合は、関東地区で10.5%、関西地区で15.3%認められ、5割程度関西地区在住パネルの方が高い傾向を示した。
スギ花粉の暴露量は関東地区において、ヒノキ花粉の暴露量は関西地区において高いことが知られており、抗体スコアの点からも同じ傾向が認められた。


第1回は、スギスコアとヒノキスコアの相関性について紹介しましたが、今回紹介したデータはインクロムの持つデータの一例です。登録パネル情報を活用したさまざまなデータの集計が可能ですので、ご要望がございましたら試験の依頼の有無にかかわらず、遠慮なくお問い合わせください。



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(公開日:2022年 3月 2日)